個展 / Pick up points, carefully
今月、20日より有楽町にある阪急MEN’s TOKYO 7F・Gallery Tagbortで個展を開催していただく運びとなりました。
年末年始のお忙しい時期と存じますが、お運びいただければ幸いです。
お待ちしております。

徳永 博子 個展 Pick up points, carefully
/ 阪急MEN’s TOKYO 7F Gallery Tagbort
2019年12月20日(金)~2020年1月23日(木)
営業時間:11:00-20:00
* Reception Party 12月20日18:00〜
*最終日1月23日は18:00までとなります。
*1月1日は全館休館です。
*他、館の営業時間に準じます。
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銀座、阪急MEN’s TOKYO 7F、タグボートのギャラリースペースにて、現代アーティスト・徳永博子による個展「Pick up points, carefully」を開催します。
徳永博子は1983年に長崎県、鍛冶職人の家系に生まれ、ものづくりの世界に慣れ親しむ幼少期を過ごしました。その後、東京造形大学美術学部絵画科に入学し、油絵を学びます。「絵を描く」ことよりも「ものをつくる」ことの方が自分には合っている、と感じた徳永は、自身の表現の可能性を探し、アクリル板を細やかに削り出す現在の手法に至りました。
透明なアクリルの板にふわりと浮かび上がる精緻な模様。細やかな点と線の集まりは、氷の結晶のようにも感じられます。ストロークの「集積」と、その重なりから「知覚」されるものを制作のコンセプトとしている徳永は、最新作ではその集められた点をひとつひとつ拾い出すことで、私たちに新たな世界を見せてくれます。
タグボートでは2度目の個展となる本展では、星座をモチーフとした新作に加え、ファン待望のドローイングを含めた30点あまりを展示・販売いたします。さらに12月28日には、ライブパフォーマンスも開催。点と線が紡ぎだす徳永博子の幻想的な世界を、ご高覧ください。
CONCEPT
私が制作する上で軸としてある二つの言葉がある。 それは「集積」と「知覚」だ。 私たちは沢山の情報を元に、ものをものとして捉えている。ものは言わば、情報の集積である。視点が多角的であればあるほど形がはっきりとし、偏りがあれば歪になる。歪さは混乱を招き、何が真実で何が嘘かなどという論争を招く。私たちが導き出すべき答えは二極ではないと思うのだけれど…、とニュースを見ながら考えてしまう。
近頃「集積」に少し疲れてしまった私は、その中の「点」にフォーカスするようになった。 集積の中から点を一つ一つ拾い上げる作業は、澄み切った空気が充満した山の夜に、無数の星を丁寧に拾い上げる事に似ていた。あれはオリオン座、あれはカシオペヤ座、北極星。晴れた夜であれば常にそこに在る(季節にもよるが)という存在に安心感が持てた。星座は約5000年前に文明を開花させていたシュメール人が起源とされている(諸説あり)。彼らは毎夜同じ場所に登る星を見つけ、方角の手がかりにした。やがて、星と星を線で結び星座を作ったが、それは単なる遊びだったのか、それともより目印として強調したかったのか定かではない。更に星座には物語がつけられたり、占星術の様に人の生活に大きな影響をもたらすようにもなった。 星のように、ただそこに「在る」ものが私たちによって意味を創造、紐付けられ、たくさんの要素を持つようになる。
以上のことから、今回は「点」と点をつなぐ「線」をテーマに選んだ。 星座はもちろん、花粉と枝、星の帯、山頂同士を線で結んでみた。星座を分解したり、少し面白半分で無茶な事もした。ほとんど遊んでいることに近かったように思う。 そうしていてふと、シュメール人が空に描いた星座は、きっとこんな風に「あれとあれを結ぶと犬に見えるね」とか「いや、蟹だよ」だとか夕飯の後に親子で遊んでいたのではないだろうか。 文明の始まりは、「遊び」である。 アトリエから帰る夜空を見上げながら、文明の始まりを探している。
□ライブインスタレーションに寄せて□
「美術」を学び始めた時、私を指導してくれた先生方の大半が、アンフォルメやアルテポーベラ、もの派といった美術史の流れに強く影響を受けており、絵の具と同等に様々なマテリアルを使うミクストメディアという手法で、制作活動を行う作家だった。先生方は辺りの泥や石だとか、木片だとか自転車の車輪などが絵の具と一緒にキャンバスに張り付けていたり、拾ってきた鉄の棒や岩を組み合わせたり、若い私は、思っていたより「美術」はずっと自由なのだと感じた。
今回のライブインスタレーションは、その原点にフォーカスし、マテリアルを中心とした「空間ペインティング」である。私はギャラリーにあるガラス面の銀色の縁を額、空間を支持体として即興で構成していく。ペインターが赤や青の絵の具をキャンバスに置くように、私は様々なマテリアルを置き、構成していく。それは、一連の私の作品が絵画の文脈から来ていることを示す事(自分自身へも)ができるのではないかと、今回試みることにした。こういった人前でのパフォーマンス要素のある制作は初めてのことであり、完全に手探りだが、「手探り」こそが今回私が目指すことなのではないかと思っている。